2013/05/30

ショパン・フェスティバル2013  in表参道  を聴きに行く 

(会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」)

5/27~6/1の間、表参道にあるカワイの2F サロンで「ショパン」のピアノ曲を披露するイベントが開かれました。昼の部はランチタイムコンサート(30分、500円)、夜の部はリサイタルで2時間、3000円)  今回は夜の部、演奏者は宮谷理香さん(1995年ショパンコンクール第5位)を聴きにいきました。(宮谷さんは、マイピアノティーチャーの姪っ子さんです。96年のサントリーホールデビューコンサートを聴いて以来、好きなピアニストの1人なのでした。)

コンサートホールと違って、100人程度(?多分)のコンサートサロンでは、奏者との距離が近く、顔も演奏状況もよーく見えます。でも、これはピアニスト側からも同様で、聴衆の反応がよーく判るそうで、演奏にも力が入っている様子。アンコールも3曲弾いてくれました。

  この日の演奏

  子守歌 変ニ長調 op57

    舟歌 嬰へ長調 op60

    即興曲 第4番 嬰ハ短調op66「幻想即興曲」

  ポロネーズ 変イ長調op61「幻想ポロネーズ」

  バラード(1番 ト短調op23 / 2番 へ長調op38/ 3番 変イ長調op47/ 4番 へ短調op52)

    アンコール: プレリュード(op28-7)、雨だれ、黒鍵のエチュード

 

 今宵の収穫は、 舟歌と雨だれ、の2曲に 「水の音」 を感じられたこと。 「水の音」の表現なら、ドビュッシーとラベルが抜きんでている、とそれ以外、あまり集中して聴いてもいなかった。

翌日、勤務先でピアノ好き(大学ピアノサークル出身)の子(といっても今年30歳)とお昼ご飯食べながら、ショパンの話しで盛り上がる。彼は彼で、先週末、実家へ戻り、友人の結婚式でショパンのノクターン2番(フィギュアスケートでもよく使われる)を弾いてきたのだそうだ。

「舟歌」って長い割にイマイチ(良さが)判らないって思うんですけど、と言ってきたので、「うんうん、あれは、生演奏に限るのかもよ、水の音のキラキラ感が、フルコンサートピアノの音色で実に心地よかったよー」などと、オバサンなので、適当に返答してしまう。

バラード(個人的にはショパンはバラードが好き)は、何番が良かったですか?なんて言われると、彼も詳しいので、ああだこうだ、で結局何だったのか判りませんが、昨夜は3番がとりわけ素晴らしかったかな。彼は、絶対に4番が良いという。知名度は1番でしょうか。

宮谷さんは、、トークも上手で、今回は、今日のために練習をしている頃のことを披露してくれました。バラード等、大曲を弾きこなす作業のためにピアノ部屋に引き籠っているとだんだん「精神的に煮詰まって」しまう時があり、そういう場合は「気分転換」をするわけで、今回は思い切って外出、美術館に行ったそうです。

三菱一号美術館のクラークコレクション  http://mimt.jp/clark/top.html

で印象派の絵画を観てきたそうですが、その中で、ルノアールの「玉ねぎ(玉葱のある静物)1881年」 に胸を打たれ、しばらくその絵の前から動けなくなってしまったとのこと。

帰宅して、(クラークコレクションは既に終了)ネットで検索して「玉葱」を見つけました。

確かに、イイ感じです。構図が上手いし…。

ダリ(サルバドール・ダリ)の絵にも、玉ねぎ並みにスゴイのがあります。

 パン籠 (1926年)です  (カタルーニャ   サルバドール・ダリ美術館蔵)

2006年12月12日の朝日新聞夕刊(かなり古いデータですが)に「ダリ回顧展」という記事があり、当時、「うわっ、スゴイ」と感じた私は、記事を切り抜きしていました。

この当時、東京・上野の上野の森美術館では「生誕100年記念 ダリ回顧展」が開かれていたようで、ダリの幻想力をよく示す有名な絵「記憶の固執(ぐにゃりと垂れ下がる時計が出てくる、教科書等に掲載される絵)」とともに、紹介されていた「パン籠」ですが、驚くべきことに「全く違う絵」でした。

 ダリが22歳の頃に描いたこの絵は、精緻な写実的描写力で徹底しており、美術評論家の評価では、「かぎりない静けさと圧倒的な迫力」と言われています。

コラム(記事)は、「夢を紡ぎだす幻視者ダリも、実際の制作にあたって主要モチーフのデッサンから始めて画面を構築していくという古典的なやり方に従っていることを示していて興味深い」とありました。

芸術家(今日のピアニスト宮谷さんも含め)の本質には、基礎を徹底的に…などという外見からは想像出来ない、「体育会系」っぽいものが底流にあることが伝わってきました。