2015/07/26
劇団新感線で再演希望の多い演目で、しかも市川染五郎主演のままで「歌舞伎化」された今回の「歌舞伎NEXT:阿弖流為」
家庭の事情や仕事の都合等でなかなか希望のチケットが取れなかったけれど、最終的に楽日の一日前に良席確保[E:heart04]出来て、期待マックス[E:up]で演舞場入りしました。
上演情報とあらすじ(公式ホームページより)
上演情報
歌舞伎NEXT「阿弖流為」
【作】中島かずき
【演出】いのうえひでのり
【配役】
阿弖流為 市川染五郎
坂上田村麻呂利仁 中村勘九郎
立烏帽子/鈴鹿 中村七之助
阿毛斗 坂東新悟
飛連通 大谷廣太郎
翔連通 中村鶴松
佐渡馬黒縄 市村橘太郎
無碍随鏡 澤村宗之助
蛮甲 片岡亀蔵
御霊御前 市村萬次郎
藤原稀継 坂東彌十郎
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阿弖流為(あてるい)
古き時代、日の国――。大和朝廷は帝による国家統一のため、帝人(みかどびと)軍を北の地に送り、そこに住むまつとわぬ民、蝦夷(えみし)に戦を仕掛けていた。その頃、都では、蝦夷の“立烏帽子(たてえぼし)党”と名のる盗賊一味が人々を襲っていた。それを止める一人の踊り女。彼女こそ立烏帽子。女だてらの立烏帽子党の頭目だった。町を襲う盗賊が自分たちの名を騙る偽者であること暴くため変装していたのだ。そこに都の若き役人、坂上田村麻呂もかけつける。さらに“北の狼”と名のる男も現れ、偽立烏帽子党を捕える。この事件をきっかけに北の狼と田村麻呂は、互いに相手に一目置くようになる。だが、北の狼と立烏帽子は、蝦夷が信じる荒覇吐(あらはばき)神の怒りを買い、故郷を追放された男女だった。
北の狼の本当の名前は、阿弖流為(アテルイ)。故郷を守り帝人軍と戦うため、立烏帽子と二人、蝦夷の里に戻ることにする。荒覇吐神の怒りをおさめた阿弖流為は、蝦夷の兵を率い、帝人軍と戦う。彼の帰還を快く思わぬ蝦夷の男、蛮甲の裏切りにあいながらも、胆沢の砦を取り戻した彼は、いつしか蝦夷の新しい長として一族を率いていく。
一方、田村麻呂も、帝の巫女である姉、御霊御前(みたまごぜん)や右大臣藤原稀継(ふじわらのまれつぐ)らの推挙により、蝦夷大将軍として、蝦夷との戦いに赴くことになってしまう。阿弖流為と田村麻呂、互いに認め合う二人の英傑が、抗えぬ運命によって、雌雄を決する時が来ようとしていた。
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かちゃまた、劇団新感線の阿弖流為は見てませんが、、NHKBSで放送された「北の英雄・アテルイの生涯」主演:大沢たかお 、は見ておりました。学校で日本史を習うと、「坂上田村麻呂が奥州を征伐」と1行だけだったりして、あっさりし過ぎていてそこからは大和朝廷と蝦夷の戦や制圧の様子等はまったく浮かんできません。今日の舞台もそうですが、日本の古代の物語(だからこそ?)が、意外にも政治とか戦争というキーワードで考えると、今の時代に通じるものが多くあって、そういう意味でも見応え十二分であります。それと、この時代の人々のファッション、なかなか活動的でかつオシャレ・・・これなども「活動的な服装の原点」として今でも参考になりそうな気がする[E:smile]
観劇気分いっぱいで演舞場入りした「歌舞伎NEXT」には「イヤホンガイド」がありません[E:scissors](財布に優しい[E:up])。さらに今回は舞台に花道がもう一本増設されていて両花道です(記念に座席表写真)。
両花道に主役の2人が乗って掛け合う、見栄を切る・・・これは見応えバッチリ、あまちゃん風に言えば「かっけ〜[E:lovely]」であります。
そして、照明・音楽に関しては新感線テイスト満載でした(でも歌舞伎に合うよね。歌舞伎がファッショナブルになる感じ)
また、新橋演舞場の大きな回り舞台を、激しい立ち回りとともにグルグル何度も回してものすごい運動量の役者さんたち・・・まるで体力の限界に挑戦しているんじゃないかと思うほど[E:#x1F4A6]
そして、この舞台の心地よさのもう一つは、脇を演じる役者たちが揃いも揃って適材適所、まさにピッタリな配役で彼らの演技も主役の3人に負けないほど素晴らしかったことではなかろうか。
先ずは亀蔵さんの蛮甲。生き意地の汚いことを自ら宣言して日和見の典型の行動をするが、「生き延びる」とは本来そういうことかもしれない(誇りとか捨てちゃって)。でも、この人どことなく憎めない(私が亀蔵ファンだからかな?)。今の実年齢の亀蔵さんのキャラ(年齢的な外見含む)が冴え渡っていました。妻の熊子(8日前のボリショイサーカスの熊と姿形および歩き方までよく似てる:笑)との愛情は和ませてもらいました。熊子の壮絶な最期は夫への愛情に溢れ、気づくと涙が頬を伝っているのです。(さっきまで笑っていたのに・・・)。大和朝廷に囚われた阿弖流為の首切り役に志願・・・最期まで生き意地の汚さを通すと思っていたら「蝦夷は腐っても蝦夷」でした。(やっぱり亀蔵サンいいよねえ、松島屋!!って合いの手入れたくなった)
大向こう(最初「合いの手」と表記して、コメント欄で「和三盆さま」からご指摘受けましたありがとうございます:8/3付け)に関しては、歌舞伎NEXT少なすぎます。染五郎の高麗屋、勘九郎&七之助の中村屋、彼らのソロ場面でいくつか「ここって大向こうでしょう」という場面がありましたが、だれも何も言いません。(今後、若い人たちがもっと大向こう入れるにはどうしたらいいのか・・・松竹さん考えてください)
他に、大和朝廷側の御霊御膳の市村萬次郎、藤原稀継の坂東彌十郎、良かったです。
市村橘太郎さんには女性の声で合いの手が「キツタロ〜ウ[E:heart04]」・・・これが、伏線となって、カーテンコールのとき(今日は4回もありました)、舞台上の大人数が一瞬にしてソデに下がり、次に幕が上がると・・・橘太郎さんだけがポツンと一人・・・観客の大笑いと拍手・・・。
新感線に続く主役2度目、中心人物の市川染五郎がこういった楽しい演出連発で(新感線のノリと思われるギャグ等)歌舞伎NEXTに貢献してました。
最期の場面は、東北の祭り(ねぶたのような)の風景と観客が一人一人腕に巻きつけて発光させるライト(説明には「蝦夷の星空の素」って書いてあった)を拍手に連動して「星きらめいてマス[E:shine]しながらスタンデ[E:shine]ィングオベーションでした。1階席から見上げると、確かに3階の人たちの手に光る「星空の素」はキレイ[E:shine]
これは、スタッフから役者さんへの「プレゼント風景」「歌舞伎NEXT出演祝い」なんじゃないかな??なんて勝手に解釈しました。歌舞伎に新しい風。応援したいと思います。
見終わって、建物の外に出た途端、35度近い気温とその熱風に、一気に現実に戻されました。
コメント
コメント一覧 (4)
<p>12日に行った時にはすごくいいタイミングで大向こうさんの掛け声があったんですが、今回は本当に少なかったですね。ひとり、若い男性の方がされてましたけど、慣れないのか声が小さくて同じ3階でも「今のがそうかな?」と思う感じでした。</p>
<p>やっぱりキメの場面には「高麗屋!」と声をかけてほしいですよね。</p>
nyonyakato
が
しました
市川猿之助絡みの舞台には、「おもだかや」ファンの大向こうが、<br />
ここぞというときに「おもだかや」「おもだかや」と<br />
カメラのフラッシュがパチパチ焚かれるように声掛けがあります。</p>
<p>翌日の千秋楽はどうだったのでしょうね。</p>
<p>それにしても、pippiさんは、同じ場所(東京)公演の間に、<br />
1階、2階、3階、とすべての階の席から観覧出来ているとは<br />
まさに「通」ですね。<br />
</p>
nyonyakato
が
しました
観る度に進化していて、歌舞伎として十分成立していたと思います。<br />
先代猿之助の「ギャグを除けば歌舞伎になる」<br />
故勘三郎の「歌舞伎役者がやれば歌舞伎だ」<br />
という言葉が真実だということを証明してくれましたね。<br />
歌舞伎を観ない人にも歌舞伎役者の底力(特に女形の)をわかってもらえて嬉しかったです。<br />
役者への掛け声は、“合いの手”ではなく“大向こう”といいます。<br />
阿弖流為は間の取り方がいつもの歌舞伎公演と違うので声を掛けにくかったのでしょう。</p>
nyonyakato
が
しました
コメントありがとうございます。<br />
歌舞伎に詳しい方から見ると、幼稚な内容でお恥ずかしい限りですが、<br />
でも、書かずにはいられない感動がありました。(少しずつでもまともになっていけたら・・・)<br />
「大向こう」のご指摘にも感謝です(今しがた「訂正」させていただきました)</p>
<p>なるほど、「いつもの歌舞伎公演」に馴れていらっしゃる方でも、今回の「阿弖流為」は<br />
声を掛けにくかった、のですね。<br />
最後のシーンが「ねぶた祭」。これは、東日本大震災後の東北復興支援を「舞台で支持」している<br />
とも言えると思いますので、これから先も「再演」続けていただきたく思います。</p>
<p>女形で2役を見事に演じ分けた七之助丈、私が初めて生の演技を拝見したのは<br />
コクーン歌舞伎の「天日坊 (H24)」でしたが(その時も、感動する美しさと演技でした)、<br />
その頃からの成長ぶり(成熟ぶり?)も素晴らしいですね。迫力ある見事な演技に見惚れました。</p>
<p>この姿、故勘三郎(お父さん&お祖父さん)にお見せしたかったでしょうね。</p>
<p>拙いブログですが、またどうぞコメントしてくださいませ。よろしくお願いいたします。</p>
nyonyakato
が
しました