2017/01/09
新年の初歌舞伎は、新橋演舞場へ。
今月の歌舞伎は、新年と襲名を寿ぐということで、
市川右近改め三代目 市川右團次 襲名披露、と彼の息子が、
二代目 市川右近 に襲名と初舞台
という初芝居。
演舞場の外の写真(4枚レイアウト)酒樽・入場前の入り口付近の様子・演舞場看板に松飾り。今日は、成人式の日なので、国旗が掲げられていました。こういう場所で国旗を見るの、なかなかいい(似合う)かも!?。
お正月だけに、ロビーの飾りも賑やかです。
夜の部、演目は、
「義賢最期」(よしかたさいご)迫力の立廻りで見せる義太夫狂言の名作
「口上」 新『右團次』誕生を寿ぐ一幕
「錣引」(しころひき)二人の英雄の力比べを描いた、様式美溢れる作品
「黒塚」(くろづか)猿翁十種のひとつである人気の舞踊劇...。
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今回の歌舞伎鑑賞は、11列7番、花道の脇上手側という良席を取りました。
目的は、猿之助さんの「黒塚」。前回は2階席か3階席で見て、彼の舞踊に魅せられてオペラグラス片手に涙目で見ていた思い出があり、今度こそ、良い席で見たいと兼ねてから思っていた演目。(チケット発売日にパソコンの前で気合い入れて取りました。
座席についてみると、左側は花道に肘が乗せられるような席で足元に荷物もドカンと置けて良いのですが、通路からは一番遠い…。そんなこんなで、お隣の人と話すようになり、お隣さんも一人で鑑賞(その隣も…)で、大学の卒論テーマが「歌舞伎」だったという方(私よりもややお姉様くらいの年齢)
黒塚以外は、まあ「口上」とか新年向きの演目かしら?などと予習ゼロでの鑑賞でしたが、お隣に「解説員」が座ってくれたかのよう(笑)
おかげで?1番目の演目「義賢最期」は、2014年に愛之助さん主演で歌舞伎座で観ていた、ということを思い出しました。
本日の舞台は、海老蔵さんが主役というところと、中車が「折平」という配役で結構サプライズらしい(ふむふむ)。
帰宅後、自分がどんな感想を記していたのか、遡ってブログを読むと、片岡愛之助さんは、片岡仁左衛門(この演目で超人気になった役者)の家系なので、この演技には力を込めていた云々。そして別演目で出ていた海老蔵さんには、なんだか手抜き?っぽい印象。
それが、今日の海老蔵さんは、全く違って凄まじい迫力[E:sign03]立廻りは大変力強く、しかも動き(手とか)がしなやかで美しく、青い隈取の顔で、見得を切る(特に寄り目で型を作って静止する)姿は、やはり、歌舞伎界の「千両役者」の価値を持ってる人だなあ、と惚れ惚れ観てしまいました。
平家の取手の襲来に備え、娘の待宵姫(中村米吉)を逃すところは、娘を思う海老蔵さんと父を思う姫(米吉さん)の情愛のこもった演技に、涙がじわり…。
私生活で父を亡くし、子供を持ち、妻(小林麻央さん)が只今ステージの高い癌の闘病中、という海老蔵さんの渾身の思い、魂を削って演じているような空気が伝わってきます。(頑張って!!と言いたくなりました。)。
義賢の悲愴感たっぷりの美しさに心が掴まれました。
頑張る、といえば、この演目で義賢を忠実に支える役柄(折平)を演じた市川中車
(香川照之)さん、上手になりました(素人目にもわかる!)。お隣の詳しい方の話では、台詞回しに加え、義太夫が入る狂言はか、な、り、ハードルが高いはず、だのに予想外の好演。(大人になって始めた人には、動きが音にきちんと合うのは大変難しいらしい)。俳優業も継続している香川(中車)さん、どれだけ努力しているんだろう(努力が実りつつある)、と彼の底力(そしてやはり両親からのDNA)を感じました。
中村米吉さん、って今年は恒例の「新春浅草歌舞伎」に出ていないなあ、と思ったらこちらに出演。この後の「錣引」でも大活躍。こちらでは伏屋姫として、所作が綺麗で色っぽいけど、果敢に戦う。見ていて気持ちよい!歌舞伎は、未来永劫、女子には門戸は開かれないそうなので(とお隣の人は言っていた)今後、綺麗でカッコイイ素敵な女形がいっぱい育って欲しいです[E:sign01](若い役者さんは、お化粧のベースになる肌が違うから、花道あたりの席で見てもホント、美しかった)
(口上)
舞台上には、9名の役者。挨拶の順は、
①梅玉→②猿之助→③男女蔵→④右之助→⑤海老蔵→⑥門之助→⑦中車
そして右近改めの「右團次」さんと、初舞台の「右近」ちゃん。
幕が上がると、舞台上の9名は全員平伏しています。6歳(ということはまだ幼稚園児)の右近ちゃんだけ、背中が際立って小さい(カワイイ)。
最後の最後まで、平伏しているのも6歳児には大変なもんだなあ、などと右近ちゃんの第一声を楽しみに見ていたら、顔を上げたその姿、それまで、目一杯ぎゅーっと下を向いていたのでしょう、襟のところに、顔の白塗り化粧の粉がたくさんついている〜!わお。がしかし、挨拶は、大変よくできました。偉いもんだなぁ。
海老蔵さんの挨拶の中に、右近ちゃんは毎日、「唐揚げ」を食べて頑張ってます!とありました。幕間に、またお隣の人から、
「昼の部も見ているけれど、この子、凄いわよ。初舞台と思えない、演技力と度胸で、史上最年少での宙乗りも、平然とこなしている、っていうか余裕でハッチャケて猿之助さんからフォローが出たりするほどだった。スーパー子役出没って感じの右近ちゃん父子+猿之助3人宙乗り、断然オススメです!」って言われたら、もう見に行くしかありません[E:sign03] (なんとかチケットゲット、22日に昼の部観劇の予定と相成りまして候)
(錣引:しころひき)
源平二人の英雄が、錣(しころ)という兜のツバのところを引き合い力比べをするという話。
右團次さんの襲名披露狂言です。
右近さん時代の最後に見たのが「スーパー歌舞伎ワンピースの白ひげ役」だったので、なんだか白ひげのイメージが強かったのですが、品のいい「平家方」」を演じていました。
イヤホンガイドの解説によれば、源氏=白、平氏=赤、という旗の色を持っていて、それが今日の運動会や大晦日の番組に使われる「紅白」の元、なのだそうです。
いかにも歌舞伎らしい、舞台上の大道具と装置、そして見栄えする衣装の数々。
絵画的な作品でした。
(黒塚)
今月は12日が満月ですが、舞台の上は奥州安達原のススキが広がる月夜のこと。
背景が幻想的で効果抜群(前回よりも舞台転換やあ音響、照明などに工夫が見られるそうです)
右團次さんを阿闍梨に中車さんを山伏(讃岐坊)にというキャスティングが高評価(らしい)。個人的には、いとこ同士の猿之助さんと中車さんの絡みが楽しかったし、似ているなあと改めて思ったし、いとこ同士が仲良く舞台に、なんて素敵だなあ、と思った次第。
前回見たときは、猿之助さんの踊る姿や変貌ぶりそのものに圧倒されて終わってしまいましたが、今回は、しっかり見ていたので「老女の心の変化」と「怒りに燃える鬼女のの心」とその「怒りが静まっていく様子」という複雑な心境変化を、好演していたのに感動。
そして、強力太郎吾役の猿弥さんがパッと「側転」を披露したり「驚きのあまり腰が抜ける様」が上手かったという発見がありました(結構ずんぐり体型にも関わらず)
猿之助さんは、本当に体幹がしっかりしているのだとしみじみ。
この舞踊劇を復活させた三代目猿之助(現、猿翁)さんが若い時に海外で観た「ロシアンバレエ」の技法を基にしたつま先で踊る振り付けも、引きずり(長い袴)での結構激しい立ち振る舞いも、物ともせず、という姿に、プロの凄さを見ました!!やっぱり四代目ブラボーです[E:heart04]
筋書きを購入したので、よく読んで、昼の部を見てきたいと思いま〜す。
終演時間が、21:20 と「口上」入りで遅かったので、演舞場から徒歩4〜5分のところにある歌舞伎座(こちらは壽初春大歌舞伎、という新と春、一文字違いのタイトル)は、
もう明日に備えて眠りについておりました。
今年も、いいお芝居がたくさん見られますように!の願いを込めて一枚。
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