2019/11/23

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8月(自身の誕生月)に取ったチケット。実父の余命宣告月が6月だったので、行けるかどうかも判らず「いざとなったらチケット救済サービスに出す」つもりで購入したもの。結果的に見に行けました[E:#x1F603]

原作:梅原猛

脚本:横内謙介

演出:杉原邦夫・市川猿之助

スーパーバイザー:市川猿翁

出演:市川猿之助、中村隼人、坂東新悟、市村武松、市川男寅、市川笑也、中村福之助、市川猿弥、中村玉太郎、市川弘太郎、市川寿猿、市川右近、市川笑三郎、市川男女蔵、市川門之助、 石橋正次、下村青、石黒英雄、高橋洋、嘉島典俊、浅野和之、ほか

あらすじ(松竹月刊誌 ほうおう より)

武芸学問に通じた美貌の若者、藤原正清のちに小栗判官=オグリは、縛られることを嫌って心のままに生き、集まった若者たちと共に自らを小栗党と称していた。ある日小栗党は、横山修理の娘、照手姫を輿入れ行列から奪い去る。 照手姫とオグリは強く惹かれ夫婦となる事を誓うが、修理は2人の仲を許さず、オグリたちは殺され、照手姫は川に流されてしまう。閻魔大王の前にやってきたオグリたちは地獄で大立ち回りを繰り広げるが、ついには捕らえられ、オグリは顔も手足も重い病に侵された姿で娑婆に送り返される。

 生き返ったオグリは、遊行上人の導きで善意の人が曳く土車に乗り、熊野を目指すことになる。その道中、照手姫と再会するが、姫はオグリに気づかず再び別れていくのであった。果たして2人は再び会うことができるのか、オグリの旅の行く先は…。


何よりも先ずは、この舞台を観にいくことが出来て幸せでありました。

今年の1月に梅原猛氏が亡くなっていることを思うと「追悼」のような意味合いになっているのかな、などと勝手に想像していたけれど、猿之助は、彼独自の解釈で「光と闇が交差する生命と歓喜の物語」としています。本来は「再生と救済の物語(をぐり 鳥居明雄 ぺりかん社 2011年)」です。先に、こちらの本を読んでしまったためか、なんとなく違和感があるにはあったスーパー歌舞伎になりました。

しかし、舞台の演出はとてもチャーミングで、猿翁時代の初演の時もそうだったらしいですが「鏡」を上手く使い、舞台上の大道具を極力減らしている(能の舞台風)、そこにダイナミックなプロジェクションマッピングを多用し、殺人馬の鬼鹿毛は、なんとメタル装備でスーパーカーのような仕様(目が怒りのレッド点灯)馬の操作も歌舞伎の舞台の馬とは違い創意工夫の結果とてもアクティブ!!カッコイイです。

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主演(オグリ)を猿之助の上演時間を選択しましたが、照手姫役の坂東新悟くんがスラーっと細身高身長(父親の坂東彌十郎氏は歌舞伎界一の高身長でギネスブックに乗ってるらしい)であるがゆえ、猿之助が小さく見えて令和天皇皇后両陛下のようでした(笑)。身長的には(あと美男子ぶりでも若さでも)中村隼人くんを観たかったかも、と思ったりしましたが、遊行上人の出番はほんのちょっとで、それでは猿之助ファンの私には不満が残るというわけで、やっぱりこちらを楽しむべき=残念ながらの納得でありました。

この舞台、タイトルは「オグリ」ですが、内容的には照手姫の物語です。政略結婚の輿入れをオグリ党から救い出してもらった、という「感謝」から始まる照手姫の心は、実家を恨むことなくいつも前向きで明るく逆境にもめげず名前のように太陽の明るさを持ち続けます。まるでN H K朝ドラの主人公。新悟くんの声が良く通り滑舌も滑らかで頭脳明晰照手姫〜って感じです。(今年は朝ドラ、BSで「おしん」の再放送を春から見てますが、主演の田中裕子のセリフの聞き取りにくさとは対照的)

地獄とそれに関連する人物(閻魔大王夫妻など)が、全て「白色」を基調に造られていたところも斬新でした。閻魔大王役の浅野和之さんはさすがに圧巻。ぶつくさ文句言いながらの登場では、先月突然辞任した菅原一秀元経産大臣のことをぶつぶつ言いながら(メロンやカニ、秘書がどうの…)だったり、地獄というところも「構造改革」が必要だから、いったん「焼き払うことにする」などと言ってみたり、がごくごく自然で本当に面白いので、いつまでも閻魔大王(&夫婦仲良い奥さんも)見ていたかった(笑)

本水の立ち回りは今回もディズニーランドのような派手さで一階席は前から3列目までが飛散水避けのビニールシート配られていました。血の池地獄、なのだけどやはりここの場面も「ホワイト」一色。皆も猿之助楽しそう!(これを2ヶ月続けるのは当人たちも関係者も大変だったことでしょう、お疲れさまーと言いたい)

2幕で本水、3幕で天馬使用による左右同時両宙乗り、と企画が押しているのも一因だとは察しますが、1幕の展開が速すぎてあれっ!えっ?、という間に、オグリと照手姫が出会い別れ(小栗党が全員毒殺)ということで、あっけないのです。人物描写とか、思いの強さとか、照手の実家の人間関係とかまだよく呑み込めていないのに、です。

照手姫がそのような中、数奇な運命に3年も耐えているというのは素晴らしい!やっぱり朝ドラだなぁ、とまたしても考えてしまう私。

赤い薔薇の花が小道具に使われているのも違和感でした。スーパー歌舞伎とはいえ、時代は古典の世界。バラは「宝塚」の十八番でしょう?!。中村隼人くんはいざ知らず、猿之助丈は蘭のオンシジュームのイメージが強いので(その昔東京ドームの「蘭展」にゲストで招かれ、彼のイメージの花だとオンシジュームを貰ってた)バラが全然似合わない。かと言って、じゃあ、何の花が良いのだろうか?と考えてみたけれど、3日間考えてもこの話に似合う「花」って出てこない[E:#x1F4A6]

一方、割引券を持っていたので、パンフレットも購入しましたが、こちらの内容は「赤いバラの花」がとても効果的に使われていて大満足[E:#x1F495]。構成も内容も、ここ数年で購入したどのパンフレットよりも良い出来でありました。

12月は新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」を上演するそうだし、猿之助丈はこの次「ヤマトタケル」に挑むらしい。

どうなんだろう? もう、梅原猛先生も天国だし、もっとゆっくりじっくりと取り組んでもらっても良いのでは? 

 

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